リビングのテーブルに広げた一冊のパンフレット。
ページをめくるたびに、
地図や観光名所の紹介、色鮮やかなグルメの写真に、
心の中で、そっと期待がふくらんでいく。
「ここ、行ってみようか。」
気になるページに印をつけながら、旅の計画を立てる時間は、
それ自体が小さな冒険の始まりだった。
目的地に到着すると、目の前に広がるのは、
パンフレットで見た風景そのままだった。
思わず「本当にそのままだね」と笑い合う。
思いがけない発見や出会いもあった。
旅が終わり、リビングでパンフレットを開く。
挟まれたチケットやメモが、あの日の空気や会話をよみがえらせる。
何気なくページをめくると、
見落としていた場所の写真が目に留まり、
「また行きたいね」とつぶやく。
旅の前も、旅のあとも。
パンフレットは、静かに私たちの記憶に寄り添う。