街のショーウィンドウが赤やピンクに彩られ、
バレンタインの訪れを告げる頃。
店頭のラックに並んだリーフレットがふと目に留まる。
艶やかなチョコレートの写真、可愛らしいラッピング、
贈る気持ちを後押しする言葉たち。
何気なく手に取ると、
華やかなスイーツの写真に目を奪われ、
贈る相手の顔が浮かぶ。
そこに書かれた言葉が、贈り物を選ぶひとときを、
より特別なものにしてくれる気がした。
お気に入りのチョコレートを選び、
リボンのかかった小さな箱をそっと手に取る。
添えるメッセージカードは活版印刷。
文字を指でなぞると、その凹凸がやさしく伝わってくる。
このカードに手書きの言葉を添えたら、
どんな風に見えるだろう。
たった一言でも、手書きの文字は、
言葉以上の温もりを伝えてくれる。
バレンタインのリーフレットを手に取るたび、
このときの気持ちがふっとよみがえる気がする。