そっと開かれた封筒の中から、上質な紙の手触りが指先に伝わる。
封を解く瞬間のわずかな緊張と高揚感。
真っ白な招待状には、流れるような美しい書体で、ふたりの名前が並んでいた。
日付、時間、会場の名前 ——
それらの言葉が、特別な一日へと続く道しるべとなる。
紙の表面には淡い金の箔押しが施され、
柔らかな光を受けて、まるで祝福の輝きを宿しているようだった。
「楽しみだね。」
家族のひと言に、ふたりの幸せがそっと広がっていく。
リビングのテーブルに置かれた招待状を見つめると、
この日のためにふたりが選んだ言葉やデザイン、
そのひとつひとつに込められた想いが伝わってくる。
やがて迎えた結婚式の日。
ゲストたちは、手にした招待状を思い出しながら会場へと足を運ぶ。
招待状を受け取った瞬間から始まっていた、この物語は、
紙だからこそ伝わる、温かな予感とともに。